生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、虫歯菌はいません。ではどうして虫歯になるのか?それは、赤ちゃんと接する大人からうつるといわれています。特に一番身近で接するお母さんが、お子さんに虫歯をうつす可能性が最も高いと言えるのです。
最近の研究では妊婦さんの歯周病が、早産、流産、低体重児のリスクを増大させることもわかってきました。
安全な出産とお子さんの健康を守るために、妊活前や妊娠中に歯科検診を受け、虫歯や歯周病の治療・予防を行いましょう。
母親に虫歯がある子どもと無い子どもを比べると、明らかに母親に虫歯がある子どもの方が、虫歯になる確率が高いことがわかります。
「虫歯ゼロ」で生まれてきたお子さんの健康を維持するためにも、お母さんが妊娠中、妊娠前からお口を健康でキレイに保ち、しっかりとした治療と予防、お口のケアに取り組むことが大切です。
妊娠4〜8週は、特に慎重に治療に当たり、12週まではできるだけ診査・治療計画とブラッシング指導にとどめています。歯の痛みや歯茎の腫れなどの急性症状があれば応急処置を行いますが、安定期に入ってから適切な治療を行うようにします。
妊娠中期に入ると、胎児は胎盤によって安定した状態(安定期)になりますので、通常の歯科治療、レントゲン撮影や投薬も可能です。胎児や母体への影響を考慮すると、比較的安定しているこの時期に治療を行うのが望ましいでしょう。
妊娠後期になると、早産の危険などを避けるために応急的な処置にとどめます。
また、仰向けで治療を受けるのも大変になりますので、治療が必要になった場合は出産後に改めて治療を再開します。
歯科のレントゲン撮影は被曝線量も少なく、お腹から離れているお口を焦点に行いますので、お母さまのお身体や赤ちゃんへの影響は少ないと考えられています。
また、撮影時には必ずX線を遮断する防護用エプロンを着けていただくため、お腹の赤ちゃんへの影響はほとんどありません。
妊婦さんに処方される薬品は安全性が高いと認められたものなので、ほとんど心配ありません。
基本的に妊娠中は出来るだけお薬を控えるようにしますが、妊娠の時期、状態、体質等に合わせ、一番安全だと思われる薬を選んで処方します。
歯科治療で行う麻酔は局所麻酔といって部分的なものなので、通常量の使用では母子ともに心配するような影響はありません。麻酔を使用せずに痛みを我慢することによるストレスの方が問題になることもありますので、痛みを感じる場合は遠慮なくお伝えください。
レントゲン撮影や麻酔治療など、通常の歯科治療で母体や母乳に影響を及ぼすことはほぼありません。どうしても心配な場合は、麻酔後や服薬後は5時間ほどあけて、薬が体外へ排出されてから授乳することをお勧めします。